弁護士徳吉完

交通事故の被害者が受け取ることのできる慰謝料には、大きく分けて、傷害慰謝料(入通院慰謝料)後遺障害慰謝料の2つがあります(死亡事故の場合には死亡慰謝料が支払われます。)。

慰謝料の金額は、①傷害慰謝料の場合は主に入通院の期間(日数)、②後遺障害慰謝料は後遺障害認定の等級(詳細は「交通事故の後遺障害認定と手続き」を参照)によって決まります。

但し、その金額は、(ア)自賠責保険基準 (イ)任意保険基準 (ウ)弁護士基準(裁判基準)のいずれで算定するかによって異なります。

傷害慰謝料(入通院慰謝料)

傷害慰謝料は、事故によって傷害を負ったことによる肉体的、精神的な苦痛に対して支払われる慰謝料です。その金額は、入院及び通院の期間、日数によって、ある程度定型的に決められます。

(ア) 自賠責保険基準
加入が義務付けられている自賠責保険から支払われる慰謝料の金額です。

1日あたり4300円で計算され、日数は、総入通院期間の日数と、実際に入通院した日数の2倍を比較して、少ない方を基準とします。

例えば、総通院期間が3か月(90日)、うち実際に通院した日数が30日だとすると、90>30×2ですから、傷害慰謝料の額は、4300円×(30×2)日=258,000円となります。

(イ) 任意保険基準
加害者が任意保険に加入している場合は、任意保険会社から傷害慰謝料が支払われます。その場合、各保険会社の社内基準(任意保険基準)によって金額が提示されます。

概ね、入院1か月なら25万円程度、入院3か月なら75万円程度で、通院の場合はそれぞれその半額程度と言われています。

(ウ) 弁護士基準(裁判基準)
弁護士に委任した場合、多くの弁護士は、弁護士基準(裁判基準)で交渉し、保険会社側もある程度それに近い水準での交渉に応じてきます。

この基準は、「損害賠償額算定基準」という赤い表紙の本に掲載されていることから、「赤い本基準」とも言われています。

その水準は、入院なら1か月で35~53万円、3か月で92~145万円、通院なら1か月で19~28万円、3か月で53~73万円と、3つの基準の中で最も高い金額となります(金額の幅は、傷害の内容によります。)。

但し、裁判前の交渉段階では、その80~90%程度となることが多いです。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、傷害が完治せず後遺症が残った場合に、その肉体的・精神的苦痛に対して、後遺障害の程度・内容に応じて支払われる慰謝料です。

その金額は、後遺障害認定の等級(1~14級)によって、ある程度定型的に決められます。

(ア) 自賠責保険基準
最も重い後遺障害1級の場合1100万円、7級で409万円、12級で93万円、最も軽い14級だと32万円になります。

(イ) 任意保険基準
各保険会社の社内基準ですので公表されていませんが、1級で1300万~1600万円程度、7級で500万円程度、12級で100万円程度、14級だと40万円程度と言われています。

(ウ) 弁護士基準(裁判基準)
1級で2800万円、7級で1000万円、12級で290万円、14級で110万円となります。但し、裁判前の交渉段階では、その80~90%程度となることが多いです。

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